「今週の生地」第3回目は、点と線模様製作所 岡理恵子さんデザインのハイドアンドシークをご紹介いたします。
岡さんのデザインは、四季折々の自然の美しさや風景をモチーフにしたものが多く、草花、木々、鳥、風景などを繊細に捉え、パターンとして表現されています。水中を漂う海藻を表現したという「フロート」や点描の濃淡で表現された「森」、ギザギザとした形の葉っぱがたくさん散りばめられた「林檎」など、FIQでも人気の高いデザインが揃っています。
今回ご紹介する「ハイドアンドシーク」はアジサイ、フォレスト、ナミなど四季をテーマに作られた図案のうちの一つ。アジサイやスミレ、カタツムリなどが描かれた、今の季節にピッタリの生地です。
画像左:アジサイ 1WH(レース)【防炎】
画像中央:フォレスト 1YG
画像右:ナミ 4YE ※廃番
岡さんは点と線模様製作所を主宰し、2008年から北海道を拠点に活動されています。大学の卒業制作として北国の自然を題材とする壁紙の制作に取り組み、より身近な布へと素材を広げました。季節や天気の移ろい、音、記憶などを題材にした作品は多方面より高く評価され活躍中。2012年以降「ten to senの模様づくり(グラフィック社)」などの作品集が出版されています。
ハイドアンドシークは、子どもの頃に親しんだ遊びである「かくれんぼ」をテーマにしており、身近な植物が咲く庭に蜂やカタツムリ、てんとう虫などの小さな虫たちが隠れている様子を描いています。ひっそりと隠れている虫たちを発見するたびに、子どもの頃の遊びの記憶がよみがえってくるような、見つけたときの喜びが味わえる遊び心あふれるデザインです。
岡さんのデザインの特徴でもある「自然のモチーフ」はこの作品の中でも活きています。アジサイやたんぽぽの綿毛などのディティールが繊細に描かれ、まるで庭で草花を眺めているかのような感覚を味わえます。自然を身近に感じられる描写と柔らかな色彩が広がるテキスタイルは、日常生活に癒しや安らぎを与えてくれることでしょう。
草花が咲くで庭で虫たちがかくれんぼをする様子を描いた「ハイドアンドシーク」は、見る人にストーリーを感じさせます。自然の美しさと遊び心を見事に融合させたテキスタイルは、子どもたちの想像力を刺激し、大人も童心に帰り楽しめるデザインです。