「今週の生地」第12回目はウィリアム・モリスの一番弟子であるジョン・ヘンリー・ダール(1860-1932)によるデザイン「ブラックトーン」をご紹介いたします。
今回ピックアップする「ブラックトーン」は、お掃除用品を扱う某企業の電化製品クリーニングサービスのCMでお部屋の壁紙として使われていたこともあるので、ご覧になった方も多くいらっしゃるかと思います。濃いグリーンの背景に赤や白で描かれた花々が浮かび上がるような華やかなデザインです。
ジョン・ヘンリー・ダールは1878年に10代でモリス商会に入り、モリスからタペストリーを学びます。モリスにデザインの才能を認められ、1890年にはチーフデザイナーになり、染織やカーペット、刺繍のデザインを手がけました。「ブラックトーン」は1892年にデザインされたもので、オリジナルは23個の版木を用いてハンドプリントされました。
デザインのモチーフには、モリスが好んだと言われる英国の花バイモ(画像左)やブラックトーン(画像右上)、スミレ(画像右下)がデザインされています。
「ブラックトーン」は、1970年代にサンダーソン社がマシーンプリントで復活させた際に人気を博したデザインで、生地へはオリジナルのブロックプリント(木版に染料をつけ、生地に押して描く染織技法のこと)の効果の再現を狙っています。ブロックプリントはデザインに使用する色の数だけ染料と版を重ねて作り上げるため、立体感のある表現に。また、機械染めとは異なりプリントのズレや染めムラ、染料の滲みなどによる味のある仕上がりになります。
モリス特有の緻密な植物模様とシックなダークカラーの組み合わせのテキスタイルは、秋冬のインテリアにピッタリ。カーテンなどの大きな面積で取り入れると、お部屋がクラシックな雰囲気に包まれます。
画像:ウィリアム・モリスのカーテン ブラックトーン1 グリーン
※同柄で織生地もございます。
画像:ウィリアム・モリスのカーテン ブラックソーン MM5948(DG)(防炎)【織物】