「今週の生地」第13回目は、北欧風デザインと魅力のイギリスのインテリアブランド「SCION(サイオン)」からリリースされている生地「Oxalis(オキザリス)」をご紹介いたします。
水彩画による透明感のある軽やかなタッチで大柄の植物模様が描かれた生地「Oxalis(オキザリス)」。日本語でカタバミという、クローバーのような葉を持つ名前の植物を意味する生地名ですが、描かれている植物の葉っぱの形状などを見てみると、カタバミとは別の様々な植物が描かれているのがわかります。
こちらはOxalis / カタバミ の写真。様々な品種がありますが、クローバー状の葉に可憐なお花が咲いているタイプをよく見かけます。
SCION本国のサイトに掲載されている生地の説明文には「Inspired by the plants found in the Barbican Conservatory」との一文がありました。この「Oxalis(オキザリス)」という生地は、ロンドンにある巨大文化施設、バービカン・センター内の屋内庭園、バービカン・コンサバトリーで育てられている植物から着想を得てデザインされたようです。ロンドン交響楽団の本拠地でもあるバービカン・センターは、音楽、映画、美術館の展示、舞台など、さまざまな芸術を楽しむことができる場所。そのような施設に温室が併設されているとは、なんともユニークで、羨ましい限りです。
もともとクローバーのような葉を持つ「Oxalis(オキザリス)」がデザインされているようには見えませんが、この植物は幸運や愛情を象徴することもあり、シンボリックな意味合いで名づけられたのかもしれません。
写真引用元:https://www.barbican.org.uk/whats-on/2024/event/visit-the-conservatory
のびのびとしたストロークで描かれるテキスタイルデザインは、カジュアル且つエレガントな雰囲気を纏っています。比較的大きなモチーフなので、人の出入りが出来る掃出し窓のカーテンやシェードの生地として使用されると、生地の魅力がより引き立つことでしょう。
コットン100%の生地にプリントされた模様。水彩によるにじみやぼかしも忠実に表現されています。まるで生地に直接模様を描いたかのよう。
色は全部で4色です。
「Oxalis(オキザリス)」を取り扱っているブランド「SCION(サイオン)」は、サステナビリティに力を入れているインテリアブランドの一つです。近年ではヨーロッパを中心に、環境に配慮したサステナブルなモノづくりが進んでいます。というよりも、企業として環境に配慮してないと製品を買ってもらえない、というスタンスが常識のようです。今年の7月にはEUが「Eco-design for Sustainable Products Regulation(ESPR)」、つまり「持続可能な製品のためのエコデザイン規則」を施行し、サステナビリティへの取り組みが本格化しました。なんとなくファッション業界のイメージがありますが、インテリアファブリック業界にも当たり前に広がっています。
「SCION(サイオン)」では、2019年から本格的なサステナビリティ戦略「Live Beautiful(ライブ・ビューティフル)」を実施しています。この戦略では、地球環境に配慮した製品のデザイン、製造、流通を目指しており、さらに2030年までにネットカーボンゼロ(温室効果ガス、特に二酸化炭素(CO₂)の排出量を実質的にゼロにすること)を達成するという野心的な目標も掲げています。
伝統的なクラフトマンシップや遺産を未来の世代に引き継ぎながら、環境に優しい製品の提供を重視する「SCION(サイオン)」に、FIQも注目しています。