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繊維用語辞典(50音順)

繊維用語辞典(50音順)


後染め
布を織ったり編んだりした後から染色をする事を後染めと言います。プリントものなどは殆ど後染めで作られています。 稀に後染めでもプリントすることでチェックやストライプといった柄を作ることもあります。布地を製品に仕立ててから染める『製品染め(ガーメント・ダイ)』も後染めの仲間です。
綾織り
別名『斜文(しゃもん)織り』とも呼ばれ、糸が斜めに交わって模様を出す織り方を指します。三原組織の一つです。平織と比べ、風合いが柔軟でシワがよりにくく、糸の密度を増すことが出来ます。光沢に富むので制服やスーツなどの服地、デニムや裏地など平織に次いで多く用いられることの多い織り方です。
インクジェットプリント
デザインのデジタル処理を行うプリントの事。大きなインクジェットプリンターから生地に直接捺染をし出力を行い、蒸気と熱によって発色させます。 ご家庭などにあるインクジェットプリンターと同じ感覚で、プリントするものが紙から布(インクも専用のもの)に変わったと考えるとわかりやすいです。シルクスクリーンプリントと比べ、版と呼ばれる枠がいらない点や、写真や複雑なデザイン、グラデーションなどの繊細な表現がより実現しやすいのが特徴的です。
ヴィンテージ加工
単なる「古着」ではなく、“使い込まれ時間の経過とともに出る色合いや風合い”に仕上げる加工方法のことを指します。 例えば、デニム製品では長年履きこまれた際に出る色落ちや履きジワ、生地が擦れて穴が開いたり、飛び散ったペンキが付着したようなものをあえて生地に施すこと等はヴィンテージ加工といって良いと思います。 デニム以外ではスウェットやレザー素材に施されることが多く、ファッション製品に多く見られます。
畝織り
タテまたはヨコに畝(うね)を強調した織生地のこと。“畝”とは畑の畝から来ており、『畝織り』とは高低差の盛り上がりが連なっている形状の平織生地を指します。『畦織り(あぜおり)』とも呼ばれ、緯方向に太い畦があるものを緯畦織、経方向にあるものを経畦織と言います。コーデュロイは経方向に畝があるので、経畦織の生地となります。
ウレタンフォーム
ウレタンフォームは合成樹脂のポリウレタンを発泡させたもので、『ポリウレタンフォーム』『発泡ポリウレタン』ともいわれています。原料は、ポリウレタンの原液に発泡助剤などを加えたもので、これを撹拌させると発熱して膨らみます。断熱材や緩衝材に幅広く使用されている素材で、大きな重みが掛かってもゆっくり戻り、軽量な割に人の重みにも対応しやすいことから、ベッド・ソファ・クッション・座布団などの中材に多く採用されています
オイル・コーティング
生地に乾性油をコーティングしたもの。『オイルクロス』『油布(ゆふ)』とも呼ばれます。防水・防汚性に優れており、不規則な天候の元で働く水夫や漁師、港湾労働者のが着るレインコートとして作られたのが始まりとも言われています。この加工方法の生地で作られたBarbour社のジャケット、BEDALE (ビデイル)はオイルドジャケットの代名詞と言っても良いでしょう。
オパール加工
生地に透かし模様を入れる代表的な加工方法。酸に強いポリエステルやナイロンなどの合成繊維と、酸に弱い綿やレーヨン生地を混合した生地の上に酸性の薬品をプリントし、プリント部分を熱処理で溶かすことにより酸に強い繊維だけがメッシュ状に残り、部分的に透かし加工された生地へとなります。女性向けのワンピースやトップスなどに多く見受けられます。『バーンアウト加工』『デヴォレ加工』と呼ばれることも。
ガーゼ
『ガーゼ』とは、目が粗く柔らかな手触りの薄手平織物の事。撚りの回数が少ない(甘撚り)単子糸を使用し、打ち込みも荒くすることで通気性・吸湿性に優れ清涼感があり、また肌触りの良い柔らかな生地へと仕上げています。ダブルガーゼはガーゼ生地を二重織にする事によって空気の層が出来、通気性・吸水性はより増し、夏は涼しく冬は適度な保湿性を持ち暖かいのが特徴。ベビーや介護用品として使用されることも多い生地です。
顔料
『顔料』とは、水や油に溶けない不溶性着色剤の事です。生地に染み込むのではなく、表面に色の粒子を付着させて色を付けます。 マットで透明性には欠けますが耐水性があり、滲みません。表現できる色の幅が広く、濃淡も表しやすい所も特徴的です。顔料には樹脂が混合しているために、顔料プリントを施した表面は、染料プリントに比べ乾くとゴワゴワ・パリパリした硬い質感になり、経年劣化で剥がれやひび割れが生じることも(ユーズド感を出すためにわざとそのような効果を出す場合もあり)。
基布
名前の通り、基(ベース)になる布のこと。カーペットのパイルを差し込む基布、レースや刺繍の基布、プリントの基布(P下)、合皮の基布など様々な使われ方をします。
生地の耳文字
生地の両端や片側の「耳」の部分に、メーカーやブランド名・生地名・色数などを捺染したりジャガードで織り込んだものを言います。
生地幅 (全幅と有効幅)
『生地幅』とは、生地がつくられる際の規格幅のことで、生地の端~端の全部の幅(全幅)を指します。プリント生地の場合は左右の耳部分にそれぞれ2~3cmほど余白部分が見受けられる事があり、生地としては使えません。有効幅とは、その余白部分を除いた生地の左右の長さを指します。
生機(きばた)
糸を織りあげたままで、糊などがそのままついておりゴワゴワの状態の生地のことを指します。生機から糊や不純物を落とす処理を行う精錬や晒し処理を施し、初めて染色工程に入ります。
強撚糸(きょうねんし)
普通の糸は繊維を撚って(よって)あるため、撚糸(ねんし)と言います。『強撚糸』とは、名前の通り一定の糸の撚りの回数を多くし、より強くなった糸のこと。硬くてシャリ感のある生地となります。また毛羽が立ちにくくなったり、織物にコシが出たりします。ちりめん生地など、シボ(凹凸感)のある織り生地を思い浮かべると良いかもしれません。別名、ボイル糸とも呼ばれます。
キリム
『キリム』は、元々中東等で暮らす遊牧・牧畜民が日々の生活の中で「自分達の生活をより豊かに彩りたい」との思いから生まれた、平織をベースとした綴れ(つづれ)織りの毛織物のことをいいます(キリムはトルコ語で「平織」の意味があります)。伝承模様を用いた図案は民族や国によっても様々。主に敷物やタペストリーとして生活に取り入られており、婚礼や寄進品のように財産としての価値を持つことも。緯糸を一本一本打ち込み、手間隙をかけ根気よく織ります。古くから残るキリムをオールドキリムと言い、希少性・芸術性も相まって大変高値で取引されていますが、近年では工場で機械織りされたニューキリムと呼ばれるキリムも多く市場に出回っています。
グログラン
『グログラン』とは緯糸には太番手の糸を、経糸には細番手の糸を使用し、経密度を緯の3~5倍密に織り込むことで、太い横畝の質感を出す平織の生地の事です。リボンに多く使用されることでも知られています。
原反
トイレットペーパーのように紙管(紙筒)へ生地をロール状に巻いたものを『原反(げんたん)』と呼びます。生地巾がメーカーやブランド等により様々なように、1反あたりの長さも約20~50mと様々です。
和装で使用される「反物」という言葉は、一般的に幅約34cm長さ約12mの生地を指し、この着尺地(用尺)で身長約170cmくらいまでの人間ひとり分の着物を1着仕立てることが出来ます。
交織(こうしょく)
タテ糸にポリエステル、ヨコ糸に綿など、異なる組成の糸で織ること。混率によりますが、混紡と同様にそれぞれの組成特性を持つことになります。
合成皮革
基布上にポリアミド・ポリウレタンなどの合成樹脂を塗り貼りしたもの。樹脂の厚みや張り具合、色彩も自由自在に変えられます。また、人工皮革や本革と比べるとお手入れも簡単です。省略して 『合皮』と言われることが多い生地です。
コーマブロード
短い繊維や毛羽・不純物を取り除き、コーマ機と呼ばれる機械へ通して整えた糸をコーマ糸と呼びます。このコーマ糸を使用したブロード織りの生地が『コーマブロード』です。毛羽立ちにくくサテンのような光沢感としなやかなハリが特徴的で、ハンカチやシャツなどの衣類に使用されることが多い生地です。
混紡(こんぼう)
糸にする段階で、綿とポリエステルなどの異なる組成を混ぜ合わせること。混率によりますが、交織と同様にそれぞれの組成特性を持つことになります。
先染め
『先染め』は名前のとおり、布を織る前に糸や繊維を先に染色することを言います。チェックやストライプなどの色柄ものなどは、あらかじめ先染めで糸を染色し、色を組み合わせてさまざまな柄に織られて作られています。糸自体がしっかり染色されているので色に深みがあり、また色落ちしにくいのも特徴です。
三原組織
織物の基本となる三つの組織のこと。
平織り・斜文織り・朱子織りを指します。
サンフォライズ加工
薬剤を使わず生地に湿気(蒸気)を与えることで予めこれ以上縮まないようにする防縮加工の事を言います。綿織物は洗濯すると縮んでしまう性質を持っていますが、『サンフォライズ加工』ではこの性質を生かし計算した分だけ生地を縮め、サイズの安定化をはかります。 Acne StudiosやLeeなどのデニムはサンフォライズ加工されたもの(一部除く)が多く、逆に、生デニムを売りにしている製品はほとんどサンフォライズ加工がされていないために、洗いにかけると縮む性質を持ちます。
ジャガード織り
フランス人発明家のジャカールが考案した織機、ジャカード織機(しょっき/おりき)を使用して製作された織物の事を指します。現在はコンピューターを取り入れる事でより多種多様な柄が再現可能です。ジャカード織機登場以前は複雑な模様の生地を織ることに非常に手間がかかりましたが、パンチカード(紙に穴をあけて情報を記憶するもの。 紋紙ともいう)を入れ替えることで、模様(操作のパターン)が簡単になり、また、立体的で複雑な柄も出来るようになりました。カーテンは勿論、着物や帯などにも用いられることの多い織り方です。
シャトル
「杼(ひ)」とも呼ばれ、織機で織物を織る際に横糸を通す器具の総称。シャトルを使用して織る織り機のことをシャトル織機と言います。近年はシャトル織機よりも更に高速で緯糸を通す高速織機(シャトルレス織機)が主流となっていますが、高速織機では出せない柔らかな風合いや着こむほどに出てくる風合い感を求め、デザイナーズブランドなどのモノづくりにこだわりや質を求める人たちから支持されています。
朱子(しゅす)織り
同じ読み方で『繻子織り』や、『サテン織』とも呼ばれます。三原組織の一つです。経(たて)、緯(よこ)5本以上で組織され、縦糸又は緯糸が長く浮いて交錯しており、しかもその交錯点が少ない為に他の組織に比べ光沢がありフォーマルウエアやブラウスなどに使用されることが多い織り方です。平織りなどに比べて比較的摩擦には弱く、ひっかきキズなどがつきやすいです。
シュリンク
シュリンクとは英語のshrink(縮む・詰まる)の意味から来ており、『シュリンク加工』とは薬品や型押し等でシワやシボを出す加工のことを言います。風合いや肌触りをより良く仕上げることができるのが特徴です。
昇華プリント
インクを熱で気化させ、圧力をかけて生地に転写を行うプリント方法。繊維に染み込ませるので通気性や伸縮性は良く、プリント部分がひび割れたり剥がれるといったことはありません。水を汚さない、エコなプリント方法としても知られています。デジタルデータさえあれば版は不要となり、フルカラーでのプリントが可能です。デメリットは、ポリエステル素材にしかプリントが出来ない点や直射日光に弱い点などが挙げられます。
シルクスクリーンプリント
スクリーンを張った枠に溶剤を塗布し、図柄になる部分に光をあてて溶かし孔を開けた版を使用し捺染(=プリント)を行う技術の事。ハンドスクリーン・プリント(手捺染)や、より量産に適し機械で捺染を行うオートスクリーン・プリントなどがあります。エルメスのスカーフは1枚1枚手捺染による作業でプリントされていますが、1色1版ずづ行うプリント工程を20回以上も行います。柄の位置を正確に美しく刷る大変高度な技術が求められ、長年の経験が窺えます。
シルケット
別名『マーセライズ加工』とも呼ばれ、濃厚なアルカリ液(苛性ソーダ)に浸し、綿やウール素材などにシルクのような光沢感を出す加工のことを言います。光沢感とともに生地の強度や染料などが染まりやすく(浸みやすく)なるメリットもあります。
浸染
『浸し染め』や、『ディップ・ダイ』とも言います。ワタや糸、生地などの状態で染料溶液に浸して染める方法です。主に無地の生地を均一な色で染色するのに行われます。
スパン(ステープル)ヤーン
ウールやコットン、麻などの短繊維のことをスパン・ステープルと呼び、スパン繊維で紡績された糸を『スパンヤーン』『ステープルヤーン』と言います。
スラブヤーン(ムラ糸)
糸の一部分が太く、ムラのある糸の事を指します。所々に不規則なわた上の節のある糸で、節部分の撚りは甘く柔らかいのが特徴です。軽量且つボリュームのある織物をつくるのもスラブ糸の得意技。織物の風合いに変化を加えたり、素朴感を増したり、ふわっとした柔らかい印象に仕上げたいとき等に用いられます。
精錬
織り上がった生地に染色を行うための前処理として、繊維についた細かな汚れや不純物、色素、臭いなどを除去・漂白する工程のことを言います。精錬は晒しと称される事もありますが、何日もかけて生地を炊き、繊維を必要以上に傷付けることなく晒す事を和晒生地と呼び、機械により短時間で合理性と生産性を重視した自動精錬のことを洋晒しと言います。
染料
『染料』は、水や油などに溶解させて染色させる色素の総称で、その多くは水溶性です。顔料とは異なり、色をつけたいものの内部まで色素を浸透させるのが染料の特徴。そのため、どんな素材にも染められるという訳ではなく、染色後も様々な工程を経ます。顔料プリントと比べて透明感があり、また繊維に色が染み込むため深みのある色に仕上がります。生地の風合いが損なわれることもありません。
タンブラー加工
『タンブラー(エアー・タンブラー)仕上げ』とも言います。通常、生地の仕上げはプレスを行いフラットにきれいな仕上げますが、タンブラー加工は生地を大きな乾燥機に入れ、蒸気の熱で空気を含ませたようにふっくらふんわり仕上げます。深いシワではなく、自然なシワ感があらわれることでソフトな風合いを作り出すことが可能です。
デニール
『デニール』は絹やナイロン、ポリエステルなどのフィラメント(長繊維)糸の太さを表す単位で、【恒長式(こうちょうしき)】と呼ばれる、一定の“長さに対する重さ”によって決まります(糸は大変細く、且つ柔かいため計測が困難です。そこで一定の長さの質量によって太さを表すということが行われます)。数字が大きくなるほどに糸は太くなります。女性の場合はタイツやストッキングの厚さを考えると分かりやすいでしょう。
デニム
染料で染めた10番手以上のタテ糸と、未晒し糸(染色加工をしていない糸)で、タテ2~3本ヨコ1本の割合で綾織りにした、綿が主素材の厚地織布。オンス(1平方ヤード= 0.8平米の生地の重さ)という単位で表現することが多く、1オンス = 28.3495g。10オンス以下のものを「ライトオンス」。10~14オンスのものを「ミドルオンス」「レギュラーオンス」。15オンスを超えるものは「ヘビーオンス」などと呼ばれます。デニムとダンガリーの違いは、デニムはタテ糸が色糸、ヨコ糸が白糸なのに対し、ダンガリーはタテ糸が白糸、ヨコ糸が色糸と逆になります。
転写プリント
インクを転写紙やフィルムにプリントし、ヒートプレスと呼ばれる機械で生地に圧着します。デジタルデータさえあればシルクスクリーンのような専用の版は不要となり、フルカラーでのプリントも可能。水を汚さず廃液なども出ないエコなプリント方法です。大量生産も可能ですが、ややコストが高く、見た目も“染める”というよりは“貼る”という感じで、質感は出ますが通気性がよくありません。
ニット
編み物を編むことや、編まれた編み物の総称。タテ糸とヨコ糸からできる一般的な生地と異なり、タテ・ヨコいずれか一方の糸のループ(編み目)を連結させて生地にしたもので、1本の糸で作られます。伸縮性のあることが特徴で、人間の体や動作にフィットし、動きやすく着心地が良いという利点から衣類に用いられることが圧倒的に多いですが、その通気性や伸縮性などの特徴を生かし、スニーカーやサンダルなどにも採用されています。
バイオ加工
特殊な酵素を使って微生物に布生地の表面を食べさせる加工です。加工を施すことにより柔らかな肌触りとなります。環境や人体への影響のないエコロジーな加工方法です。
パイル
パイルとは、毛羽やループのことを言い、パイル織とは表面のパイルを特徴とする織物の総称の事です。
一般的にパイルと聞くとタオル等に使用される生地を思い浮かべると思いますが、コーデュロイやベルベット、ビロードなどのシャーリング生地もパイル織りをした生地のループ部分をカットしたものなので、パイルの仲間と言えます。タオル地のパイル生地は、そのふわふわした肌触りは夏だけでなく冬も暖かいのも特徴。保温性・保湿性・吸水性が高いためにベビー用品としても通年人気があります。
撥水加工
生地表面に付いた水や油を表面張力の特徴で水玉状にし弾く加工の事。空気や熱は通すので、比較的蒸れにくいです。 雨粒のように粒子の大きなものは弾きますが、霧雨のような粒子の細かいものは強い水圧では浸透してしまいます。 通気性を必要とするテントの本体などはあえて防水加工はせずに撥水加工のみにしているものもあります。
抜染
通常のプリントは生地の上にインクを印刷しますが、『抜染』は染められた生地の色を抜くことで、地染した生地あるいは糸に色を抜く(ブリーチ)ための抜染糊をおき模様を表すことをいいます。白っぽく生地色を抜く「白色(ハクショク)抜染」と、色を抜き取ると同時に異なる色を着色する「着色(チャクショク)抜染」があります。『抜染』は、綿100%の生地のみに可能な加工方法となり、元の生地色を脱色するので生地質も損なわずやわらかい風合いが特徴です。『抜き染め』とも呼ばれます。
番手(ばんて)
『番手』とはウールやコットン、麻などのスパン(短繊維)糸の太さを表す単位で、【恒重式(こうじゅうしき)】とよばれる、一定の“重さに対する長さ”によって決まります。数字が小さいほど太く、大きいと細くなり、一般的に数字が20以下の糸を“太番手”、21~59までの糸を“中番手”、60以上の番手を“細番手”と呼びます。
帆布(ハンプ)
綿や麻などの太い糸で密に織られた厚手の丈夫な平織物のこと。元々は船の帆や画布、テントなどで使用されていましたが、服地としての用途も多い生地です。ワークブランドCarhartt (カーハート)のアウターやオーバーオール等で使用される『ダック生地』、L.L.Bean(エルエルビーン)で定番のトートバッグに使用されている『キャンバス地』も同じもので、これらを含めて日本では『帆布』と呼んでいます。
P下(ピーシタ)
糸を織りあげたまま、糊などがそのままついている反物のことを生機といいますが、生機から精錬等下処理をした反物の状態をP下(ピーシタ・プリントシタ)と呼びます。生地にプリントを行う布は、一般的にこのP下の事を指します。
ピーチ加工
起毛加工の一種。起毛加工とは、生地の表面を引っ掻いたり擦ったりを行い、生地を毛羽立てる加工方法のことを言います。ピーチ加工は名前の通り桃の実の皮部分のように柔らかくて心地よい産毛のような肌触りが特徴的な生地のことを指します。保湿力の向上・肌触りの柔らかさなどの効果が得られます。
平織
織物のなかで最も多く用いられる基本的な織りで、三原組織の一つです。経糸緯糸のいずれも1本ごとに浮き沈みして交錯した組織は応用範囲が広く、変化組織が多いのも特徴。糸の太さ、密度(打ち込み)素材を均等にすると硬くて摩擦にも強く、最も丈夫な織り技法となります。キャンバス地(帆布)やガーゼなどは平織の組織を用いた織り方となります。
フィラメントヤーン
絹やレーヨン、ナイロンといった長繊維の事をフィラメントと呼び、フィラメント繊維を紡績した糸を『フィラメントヤーン』と言います。通常、綿は羊毛などと共に短繊維(スパン)と呼ばれる短い繊維の部類に分けられますが、アメリカ南部を原産としたスーピマコットンは超長繊維綿に分類され、その光沢感や上品な柔らかさから世界中の有名ブランドに採用されています。
風通(ふうつう)織り
2枚の織物が重なった二重織りの一種で、『両面織り』とも呼ばれます。表裏に異色の糸を用い、文様の所で糸を交換して色の異なる同じ文様が表裏に織り出されたもの。例えば、表面に赤・裏面に白い糸を使用した際、表面には赤地に白い模様があらわれますが、裏面では白地に赤い模様となります。
物性試験
物理的性質を調べる試験。繊維の場合は主に「引張・引裂き強さ:引っ張たり引き裂いたりしたときの強度」「スナッグ:引掛け作用により、糸が突出・引きつれを起こす度合い」「ピリング:摩擦等による毛玉の度合い」などが物性試験でデータ化されます。他にも繊維の試験としては、「混用率:生地に含まれる繊維の割合」「寸法変化率:洗濯等によるサイズの変化率」「堅牢度:洗濯や日光等による変退色の度合い」などが一般的です。
防染
糸や布の染色法のひとつ。糊等(防染剤)を使用し、布生地に染料が染まらないようにする『白色防染』と、防染糊に染料を混ぜた色糊を使用し、模様部分を異なる色に染める『着色防染』があります。染色技法としては、ろうで防染を行う『ろうけつ染め』や、染めたくない部分を紐でくくる『絞り染め』も防染技法といえます。
無撚糸(むねんし)
撚糸とは反対に、撚りがかかっていない糸のことを『無撚糸(むねんし)』といいます。無撚糸は綿本来の柔らかさをそのまま残しているため、抜群の柔らかさと吸水性が特徴です。尚、ねじりが弱いのを甘撚りといい、こちらも柔らかさや吸水性に優れています。
杢糸(もくいと)
異なる色、異なる太さで染色した複数の糸を撚り合わせて1本の糸にしたものの事。一般的には1本の単糸(たんし)を2本撚り合わせた双糸(そうし)、珍しいもので3本撚り合わせた三子(みこ)などがあります。
杢糸を全面に使用した無地の生地を織り上げると、全体的に霜降りの様な粗めのムラ感を表現することが出来ます。
紋紙(もんがみ)
紋紙(別名パンチカード)とは、ジャカード織機で図柄を織るために、段ボールのような厚紙に穴をあけて情報を記憶させた型紙のことです。この「紋紙」を機械的に操作することによって経糸が上下に作動し、そこに緯糸を通して模様を織り出します。
用尺
『用尺(要尺)』とは、カーテンや衣服等の製品を作る為に必要な生地の量(必要m数)のことです。
ラミネート加工
『フィルム・コーティング』とも呼ばれ、布の表側に透明フィルムを貼り合わせてあり、ビニールのような質感となります。防水・防汚はもちろんのこと、摩擦や色落ち防止などの効果もあります。防水加工は撥水加工とは異なり、表面を隙間なく覆うため、完全に水を弾きますが体から発散される水分や湿った空気は出ることができないために蒸れてくるのが欠点です。 近いものでいうとゴム製品などを想像してみると良いかもしれません。
リピート
生地の模様の繰り返しの1サイズを『リピート』と言い、タテ方向に模様が繰り返されているものはタテリピート、ヨコ方向に模様が繰り返されているものはヨコリピートと呼ばれます。 『リピート』は送りとも呼ばれ、四方左右に繰り返される模様は四方送り、タテ(またはヨコ)方向1/2に模様をずらして繰り返す模様をハーフステップ送りと言います。
ロータリースクリーンプリント
円柱状の型が回転して捺染することを指します。四角いスクリーン枠の場合は柄のつなぎ目で切れ目が出てしまう事がありますが、ロータリースクリーンでは模様の切れ目なくプリントが可能。そのため、特にストライプなどの連続した模様に適しています。マリメッコ社では、近年このプリント方法を導入する事によって生産効率が飛躍的に伸びました。
ワッフル織
別名『蜂巣織り』とも呼ばれ、名前の通り蜂の巣やお菓子のワッフルに似た四角形の凹凸を作る織物の事。
吸水性や肌触りに優れ、また乾きやすく清涼感に長けているため、タオルや夏向きの衣料品、シーツやベビー用品などにも使用されることの多い織り方です。