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【コラム】リサイクル糸(特紡糸)とは

2022/08/29

【コラム】リサイクル糸(特紡糸)とは


日本の地球温暖化対策に関する基本方針を定めた法律「地球温暖化対策推進法」が施行されたのが1999年の4月。この流れに伴い、地球環境に配慮したモノ作りが意識されるようになって随分経ちますが、繊維業界もその勢いは強くなるばかり。ただ、ペットボトルやアルミ缶など既に定着しているものに比べて繊維製品のリサイクル率は低く、石油を原料とする合成繊維の再利用、石油に代わる原料を用いるなどの資源の有効活用のための技術開発などが期待されています。今回はFIQの商品にも使用されている「リサイクル糸(特紡糸)」についてご紹介いたします。



リサイクルとは、「使い終わったものをもう一度資源に戻し、製品を作ること」。繊維製品のリサイクルには「ケミカルリサイクル」、「マテリアルリサイクル」、「サーマルリサイクル」の3つの方法があります。
 
「ケミカルリサイクル」とは、回収した合成繊維製品を工場に送り、洗ったり、細かく粉砕したりした後、化学的に分解し、元の原料に戻して繊維の原料として使用する方法。ケミカルリサイクルの場合は、同一素材の衣料品のみを大量に集めて処理する必要があるため、効率的な回収システムを作る必要があります。
 
「マテリアルリサイクル」とは、原料まで戻すケミカルリサイクルとは違い、材料のままで利用するリサイクル方法。古着などを裁断して布状にばらし、雑巾や工場の油拭き用の布として利用する方法(ウエス)や、古着を細かく裁断した後、無数の針で引っ掻いて、布から繊維をわた状にほぐす方法(反毛)、合成繊維100%の場合は過熱・溶解後にプラスチックなどの成形品原料として利用する方法(再溶解)もあります。
 
「サーマルリサイクル」とは、他の可燃ごみと一緒に焼却して発電などに利用するリサイクル方法。合成繊維メーカーでは繊維製品の廃棄物から金属などを取り除き、自分の工場で使用する石炭ボイラーの燃料として使用する取り組みも行っています。

3つのリサイクル方法のうち、今回ご紹介する「特紡糸」は「マテリアルリサイクル」により製品化されたものです。

■特紡糸とは
 
愛知県岡崎市で大正の初めころから続けられてきた特殊紡績(特紡)という紡績方法で作られた糸のこと。特紡は未利用のまま廃棄される未利用繊維や、紡績、織布工場で発生する糸くず、布地などを集めて反毛(綿にほぐしなおすこと)した原料を使用し、再び糸に紡ぐ優れたリサイクル方法です。特紡糸の特徴は、撚りが甘く、ふわっとしたボリューム感があること。また、素材としては反毛業界から供給される再生綿(リサイクル綿)が主体ですが、ポリエステル、アクリル、レーヨンなど他の素材と混ぜて紡績される場合が多く、混紡によって糸の形状が変化しバラエティに富んだ糸ができます。

 

■特紡糸ができるまで

次に、特紡糸はどのようにして作られるのか、製造工程をご紹介いたします。

①混打綿(こんだめん)

ローラーに無数の針がついたフェアノート(調合機)で、わた状の繊維を混ぜ合わせ、ほぐします。混打綿(こんだめん)とは圧縮されている原綿をほぐし、加工しやすいように混ぜ、次工程であるカーディングを行うために板状に整える工程のこと(紡績における最初の工程)。これを行う機械に混打綿機があります。
 

②カード機へ移動する

ほぐした繊維をフェアノートからカード機に空気輸送します。カード機は繊維を一定方向に揃え、糸にしていくための前準備の工程(梳綿:りゅうめん)で使用する機械で「もつれあった繊維を分離し、ゴミや短い繊維を取り除く」、「残った長い繊維をまっすぐに引き伸ばし、繊維の方向を平行に揃える」という工程を行います。カード機には棘のついたローラーが装着されており、その棘が櫛のように繊維を掻き取りほぐすことで小さなゴミや短すぎる繊維を取り除き、方向を揃えます。
 

③カード機にて②の工程を繰り返し繊維を重ね、シート状にする

最初に棘が荒いローラーを通り、ひと工程終わるとレースのように綿が薄くなった状態で次のローラーへ送られます。次のローラーを通る前にわたの量が一定になるようにきれいに重ねて並べられ、これを繰り返すごとにローラーの針を細かくすることで均一で整った状態(ネップが残らない)になります。繊維の向きがきれいに揃えられた原料は、わたのシートとなってコンデンサという機械に送られます。シート状のわたを細長く割き、ラバーシートで挟んだ状態で揉み、木管に巻き取ります。
 

④スライバーを作る

スライバー(篠)とは撚りをかけていない繊維束のこと。紡績工程における中間製品の一つで、カード機で短繊維やネップなどを除去した状態のものをさします。
 

⑤精紡(粗糸を撚りながら伸ばし、強度のある糸にする)する

精紡とは粗糸を撚りながら伸ばし、強度のある糸にする工程のこと。精紡を行う機械に精紡機(画像はリング精紡機)があり、糸の番手(細さ。細番手になるほど撚る回数が多くなる)はこの工程で決められます。粗糸を回転数の異なる二つのローラーへ供給し、細く引き伸ばし、「リング」と「トラベラ」と呼ばれる部品を通過することにより撚りをかけ、完成した糸をボビンに巻き取ります。
 

⑥精紡糸の品質を整え、巻き上げる

糸をつむぐ最終工程として、ワインダーで糸を巻き上げます。ワインダーを使用することで、太さのばらつきや汚れなどの欠点を取り除き、糸の品質を均質に整えます。
 

この後にまた様々な工程を経て、生地や製品が製作されています。再生繊維を使用することにより太さや色に変化が生まれ、表情のある生地が出来上がります。
 
FIQ取扱いの生地より、特紡糸を使用した生地をご紹介します。
 


画像左:リニア(グレー)
再生繊維とモール糸を紡いだエコロジカルな糸使いの生地。やさしい色合いと柔らかな手触り。ナチュラルな雰囲気が漂う生地です。

画像右:ドロウ(サックス)
油絵の質感やクラックペイントを思わせるような抽象的なデザイン。生地に洗いをかけ目が詰まることにより、刺繍のようなしっとりとした膨らみを表現しています。タテ糸にポリエステル、ヨコ糸に綿・ポリエステル・アクリルのリサイクル繊維を使用し、デザイン性・機能性・環境性ともに優れたファブリックです。


ヨーロッパの環境先進国ほどではないにしろ、日本も年々環境に配慮した取り組みやモノ作りが増えてきているのは間違いありません。商品を選ぶ際に価格や機能、デザインだけでなく、今後は「環境にやさしい」という視点が当たり前になってくるのでしょう。


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参考サイト 50音順

石川メリヤス有限会社
環境省
有限会社髙田商店
・ナリセン株式会社
日本化学繊維協会(JCFA)
株式会社フォーリン

深喜毛織株式會社
フクイボウ株式会社
文化遺産オンライン




 

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