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【コラム】今週の生地 VOL.14 SIENA(シエナ)

2024/11/01

【コラム】今週の生地 VOL.14 SIENA(シエナ)


「今週の生地」第14回目は、北欧のインテリアデザインブランド「Artek(アルテック)」からリリースされている生地「SIENA(シエナ)」をご紹介いたします。
 
Alvar Aalto(アルヴァ・アアルト)が1954年にデザインしたプリントテキスタイル「SIENA(シエナ)」。手描きの長方形が規則的に並んだデザインは、アアルト夫妻が好み、幾度も訪れたイタリアの都市の街並みと、ドゥオモ広場に位置する「シエナ大聖堂(Duomo di Siena)」に着想を得て描かれたと言われています。



アルテックの「SIENA(シエナ)」はご存知でも、デザインソースとなったシエナ大聖堂がどのような建築(大聖堂)か、ご存じない方も多いのではないのでしょうか。ちょっと調べてみたところ・・・




画像引用元:https://operaduomo.siena.it/la-cattedrale/

写真が、Artekのファブリック「SIENA(シエナ)」のモチーフの一つとなった大聖堂です。正面のファサードにはゴシック建築が、鐘塔や外壁、内部の柱には白と黒の大理石がボーダー状に組み合わされたロマネスク様式の装飾が施されており、とても印象的で美しい建物です。シエナ大聖堂が完成する以前のロマネスク建築でも、このような縞模様がしばしば使われており、同じくイタリアのオルヴィエート大聖堂でも類似の装飾が見られます。シエナ大聖堂に使用されている白と黒の大理石の配色は、大聖堂の名前の由来にもなっているシエナという土地の紋章の色から引用されたそうです。ファブリックと通じるところもいくつかありますね。

また、グーグルマップでシエナ大聖堂付近をお散歩してみたところ、大聖堂から3分ほど歩いた場所には「カンポ広場(Piazza del Campo)」と呼ばれる広場があり、ファブリックに描かれている長方形のようなレンガが敷き詰められていました。元々石畳の道が多いヨーロッパですが、モチーフと似た形状はちょっと珍しいかもしれません。

イタリアの様々な景観に触れた後で改めてArtekのファブリック「SIENA(シエナ)」を見ると、余分な要素を潔くそぎ落としたアルヴァ・アアルトのデザインにちょっぴり驚かされます。
 

「SIENA(シエナ)」は、過去にホワイト×ブルーやホワイト×イエローなどのカラーが展開されていましたが、定番色のホワイト×ブラックとホワイト×ホワイト以外はほとんどが廃番色となりました。



しかし、2021年に新たに3色がリリース。どのカラーもテキスタイルデザインと同様、建築的な要素を取り入れたものとなっています。FIQでは3色中「グレー×ライトグレーシャドー」と「サンド×ホワイト」を取り扱っています。



「グレー×ライト グレー シャドー」は、アルヴァ・アアルトのキャリアの中でも比較的後期の作品に好んで使われた大理石をイメージした、透明感を感じるカラーです。大理石を用いたアアルト建築として、ヘルシンキのフィンランディアホールや国民年金局、ラウタタロのオフィスビルなどが挙げられます。



「サンド×ホワイト」の色合いは、彼が建築や家具をデザインする際に好んだ木やラフィア素材の生地など、自然素材ならではの味わい深さを想起させます。確かにスツール60やテーブルといったArtekの製品と近しい色合いですね。


右上から時計回りに:SIENA ホワイト×ブラック、グレー×ライトグレーシャドー、サンド、ホワイト×ホワイト

「SIENA(シエナ)」は、硬質な建築物からのインスピレーションを柔らかなファブリックという素材へシンプルに落とし込み、私たちの暮らしに彩りを添えます。その姿は、「建築における唯一の正しい目標は、自然に建てることだ。やりすぎてはいけない」という、余計な装飾を排しながらも本質を大切にしたアアルトのデザイン精神を垣間見るかのようです。



■今週の生地 VOL.14 SIENA(シエナ)
生地幅:149cm
リピート:64cm
組成:綿100%
デザイン:Alvar Aalto
ブランド: Artek(アルテック)


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