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【コラム】アウトドアで人気のTC素材とは?

2020/07/13

【コラム】アウトドアで人気のTC素材とは?


画像はテンマクデザインの名作「サーカスTC」
夏は木陰のように涼しく、冬は暖気を逃さない。抜群の遮光性と通気性を兼ね備えた綿混紡のテント。2箇所の出入口で快適な風通し。TC生地使用で結露しにくく遮光性抜群。
 
以上公式サイト https://www.tent-mark.com/circus_tc/ より抜粋


虫が苦手な私にはほとんど関わりのないアイテムなので詳しいことはわかりませんが、アウトドア界隈に明るい人間によると「T/C」素材のテントやタープなるものが人気商品となって、もう数年経つらしい。上記のサーカスTC以外ではTATONKA (タトンカ)TCシリーズあたりが有名みたいですね。

ちなみに「T/C」とはテトロンとコットンの混紡繊維※のこと。テトロンはポリエステルの別名で、繊維を開発した帝人と東レの共同商標なのですが、イジンとウレの頭文字を1つずつとって ナイロンをもじってつけたと言われています。もうちょっと他になかったのかなぁ。。。
 
※混紡:異なる二つ以上の素材の糸、繊維をつむぐこと。原料の段階で、異素材を混ぜ合わせて作る素材を「混紡糸」といいます。

通気性・吸水性に優れ肌触りがよく静電気も発生しにくいコットン(綿)に、しわになりにくく乾きが早いテトロン(ポリエステル)を組み合わせることで、T/Cというハイブリッドな繊維が生まれました。コットンは水を含むと膨張するという特徴があるので、雨が降って水を含むと自ら生地の隙間を埋めてくれるため耐水圧が高くなくても雨が下まで落ちるのを防いでくれるらしいです。冬キャンプではコットンが水を吸ってくれるから結露しにくいし、ポリエステルは火に弱いのですがコットンは比較的火に強いと言われています。確かに、テント素材に最適ですね。


 

このような機能的特徴以外にも、T/Cには2浴染めや片浴染めができるというメリットがあります。

※2浴染め:二種類の繊維を混紡、交織した布地を染色する場合、片方の繊維を染めた後にもう一度染色して、もう片方の繊維を染める手法。まずポリエステル側を分散染料で染め、還元洗浄を済ました後に反応染料で綿側を染めると言う染色方法。
※片浴染め:片方の素材のみを染色し、もう片方は晒(さらし)のまま残す染色方法。

当店取り扱いの生地では2020年AW新作のブロッサム(画像上)やバウンド(画像下)が片浴染めですが、これらの手法を使うことにより生地にヴィンテージっぽいかすれやシャンブレー感を表現することができるんです。

 


もちろんメリットがあればデメリットもあるのが世の常で、無敵のように思われるT/Cにも、あたりまえですが「吸水性が綿100%に劣る」「ポリエステル100%ほど乾きが早くない」等、綿とポリエステルの持つメリットが混率に応じて棄損されてしまうというマイナス要素があります。何事にも完全無欠はありませんので、結局は好みや用途によってのバランスということでしょうか。

約3万年前ともいわれる旧石器時代に誕生した天然繊維と、1935年にアメリカの科学者ウォーレス・ヒューム・カロザースが発明した化学繊維との融合。繊維って実は結構奥が深いんです。


【追記】
天然繊維同士の融合、綿麻混紡については https://www.fiq-online.com/newsDetail.php?id=10u7bebQ9PwzbxkNhYzw8PFg をご覧ください。

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