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【コラム】プリント生地が出来るまで 「前処理~版制作~捺染」

【コラム】プリント生地が出来るまで 「前処理~版制作~捺染」

プリントテキスタイル
~様々な色柄や模様がプリントされた生地~

そんな生地を製作する工程に、どんなイメージがありますか?
多分「プリントごっこ」のイメージだと思います。
非常に大まかですが、その通りです。
ただ、実際に生地にプリントするには、前にも後にもなんだかんだとややこしい作業が待ち受けています。
そう簡単に生地が出来上がるわけではありません。

これから皆さまに、プリントテキスタイルについてのお話を数回に分けてご説明してまいります。

第1回目は「前処理~版制作~捺染」について。

プリントするベースの生地を「生機(キバタ)」と呼びます。
織機から織りあがった状態の生地のことです。

糸の番手(太さ)、織り密度(縦糸と横糸の本数)、織り方などなど、生機も色んな種類があります。
FIQの扱い生地では天然繊維も多いのですが、もちろん色んな組成も存在します。

 

出来上がったキバタをそのままプリントするわけではありません。
プリントする前に「前処理」という複数の工程が入ります。
プリント前なので前処理。
そのままですね。

キバタは糸に糊が付いたままなので、バリバリ・ガリガリです。(ノンウォッシュの新品ジーンズをイメージして下さい)
また、表面もあそび毛がありモシャモシャなままだし、綿素材や麻素材の場合、もともと生成り色(ベージュ色)をしており、綿花や麻の殻などの「カス」が含まれています。(バニラアイスのバニラビーンズみたいなもの)

 

それをまず「晒(さらし)」ます。
毛焼き(生地の表面を焼き、キレイに)、精錬(糊抜き・不純物の除去)、漂白(白く)して仕上げていきます。

ちなみに生成りの風合いを生かしたままの処理という方法もあります。
 

そのあとはアクリル処理を施すことにより生地の光沢を出したり、シワをとったり。
この工程はシルケット加工と言います。例えるならお化粧前のファンデーションですね。
生地の収縮率が良くなり物性を高めます。「このファンデーションUV効果もあるのよ」ってとこでしょうか。

次にキバタのカタチをすこしづつ整えます。
テンターという幅出しの機械に掛けるのですが、その時に生地の「耳」を針に引っ掛けるので、生地の耳にはポツポツと穴があるのです。(下図参照)
この工程で幅のサイズ調整と生地の歪みを矯正していきます。

 

ザッとですが、どうでしょう?「前処理」。
実はプリントするより時間がかかるのです。

前処理が終わったら、今度は「版とプリント(捺染)方法」について。

FIQが扱う
北欧生地やオリジナル生地では、アナログプリントが多く用いられています。

アナログプリントの場合、まず「版」をつくります。
版を彫るともいいますね。

基本的には1色1版となり、色数が5色の場合は5版必要。

版を使わない転写・昇華プリントなどもあるのですが、こちらは化学繊維の生地によく使われる手法なので、綿やリネンなどの生地ではあまり馴染みがありません。

 



アナログの「ペタペタ」と「コロコロ」

メッシュ地に色ごとの版を彫り、パネル状のスクリーン版にしてそれを押してプリント。
ペタペタが「スクリーンプリント」※注

シリンダーに色ごとの版を彫り、筒状の版にしてそれを回転させながらプリント。
コロコロが「ロータリープリント」

ペタペタとコロコロどちらを使うのか?

 


例えばこの柄ですが、ご覧のとおり変形のストライプです。

スクリーンプリントでペタペタとすると、版と版のつなぎ目はほとんどの場合「ズレ」ます。
プリントする相手は生地なので、伸びもすれば縮みもするし、歪みもするのです。
なので間違いなく「ズレ」ます。

そんな場合は?

そう、ロータリーのコロコロです。
回転している版の間を生地が通るので、つなぎ目が出ません。

一方スクリーンの場合はロータリーより色数(版数)をたくさん使えるので、より繊細な表現も可能になります。


なので本当に一長一短。
デザイン・色数・柄の大きさ・生産数・キバタの素材・加工場の設備などなど、全ての条件を総合的に判断し、スクリーンとロータリーどちらにするか決めるのです。

じゃあ全部ロータリーで って訳にもいきません。

ロータリーの場合スクリーンより生産性が高くシンプルな柄は得意なのですが、色数(版数)の制限が多く、繊細な表現が得意ではありません。

しかし、海外のプリント生地の場合「この柄をスクリーンで刷る?」ってのもよくあり、正直「ズレ」まくってます。

でも、ある意味それが「味」であったりもするわけなんですよね。
生地ですから。。

 

重色(重版)という手法もあります。
意図的に版と版を重ねることにより、重なり合った部分に新たな色を生み出すことが出来ます。
奥行きのある、作り手独自の感性が生地に表れ、深みや味がでます。

 



でも、「もっともっと色数を使いたい!」「でかい柄にしたい!」

そんな場合こそ最先端技術の出番。

次回は「デジタルプリント」のお話です。


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※注 機械でプリントするのは「オートスクリーン」 手でプリントするのは「ハンドスクリーン」と呼ばれます。

 

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